股関節唇損傷とは
股関節唇損傷とは
股関節は、骨盤と太ももの骨(大腿骨)で構成される関節です。
その中にある「関節唇(かんせつしん)」は、ゴムパッキンのような役割をする軟骨組織で、骨盤側のくぼみ(寛骨臼)を縁取るように存在しています。
関節唇は、大腿骨をしっかりとおさめることで股関節の安定性を保ち、歩くときや運動時の衝撃をやわらげるクッションのような役割を果たしています。

その股関節を安定させている関節唇が傷ついてしまうことを「股関節唇損傷」と呼びます。
股関節唇損傷の主な症状には、股関節の痛みや不安定感、可動域の制限(特に股関節を曲げる・内側にねじる)があり、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすことがあります。
治療はまずリハビリなどの保存療法が基本です。股関節に負担がかかる動作を控えながら、痛みの軽減や機能の改善を目指します。ただし、症状が改善しにくい場合には、手術を検討することもあります。
股関節唇損傷の原因
股関節唇損傷の原因には、FAIや寛骨臼蓋形成不全などが挙げられます。
FAI (Femoroacetabular impingement)
大腿骨頭と骨盤のいずれか、もしくは両方に骨のでっぱりを伴う形態異常があることで、股関節を曲げたりひねったりする際に、関節の中でてしまう状態です。股関節内で衝突が繰り返されることで関節唇が損傷されることがあります。

寛骨臼形成不全
寛骨臼は股関節の中の骨盤側のくぼみを指し、このくぼみの形成が不十分で浅いため大腿骨を十分に覆うことが出来ない病気を指します。大腿骨の被りが少ないことで関節唇に負担が集中することで関節唇が損傷される原因になります。
またFAIや寛骨臼形成不全のような股関節の形態異常以外にも、スポーツ動作の中で高頻度に股関節を曲げる・内側にねじる・外側に開く動作を繰り返すことで、慢性的に関節唇にストレスがかかり、関節唇損傷が起こる場合があります。
例:サッカーのキック、バレエなど


股関節唇損傷の治療
保存療法(手術以外の治療)
日常生活の中で、股関節を深く曲げる動作や内側にねじる動作を避けます。痛みが強い場合には、痛み止めの注射(キシロカイン®)を行うこともあります。
痛みが軽減し動かせるようになってきたら、リハビリを開始し、股関節や体幹の柔軟性向上や筋力トレーニングを行います。また、股関節唇に負担がかからない動かし方や体の使い方も訓練し、痛みの軽減や予防を目指します。
手術療法
鏡視下関節唇縫合術
股関節に約1センチの小さな穴を2~3か所作り、そこから内視鏡を挿入して損傷した股関節唇を縫合します。
手術は全身麻酔で行い、皮膚に2~3か所、1センチ程度の切開を加え、関節鏡や手術器具を挿入します。アンカーと呼ばれる糸付きのビスを打ち込み、関節唇を縫合します。
術後の経過
入院期間は通常1~2週間程度です。手術後しばらくは、傷口や股関節唇に負担をかけないよう、しゃがみ込みなど股関節を深く曲げる動作や脚を内側にねじる動作は控えていただきます。
ただし、特別な装具の使用や歩行時の体重のかけ方については、基本的に制限はありません。
スポーツへの復帰は、回復の状態に応じておおよそ3~6か月後が目安です。