椎間板ヘルニアに対する再生医療SPINE REGENERATION
椎間板ヘルニアの治療法概略

- 低侵襲内視鏡手術 :
椎間板ヘルニア手術は局所麻酔下、7mm小切開、約30分で終了し、念のための経過観察として1泊入院(日帰りも可)後に帰宅可能です。 - 切開手術 :
椎間板ヘルニアだけでなく、脊椎不安定症や脊椎すべり症を合併する場合には、保険適用の切開手術を行い、入院は約2週間となります。 - 椎間板再生医療 : 椎間板が長い期間を経て劣化損傷が強い時には、iPS細胞抽出成分の椎間板内注入有効率は自家で約85%、他家で約80%です。自己脂肪由来幹細胞の有効率は約80%で、年齢を問わず使用できる乳歯髄幹細胞培養上清液 (有効率75%) や、50才までの自己多血小板血漿PRP (有効率65%) も椎間板性疼痛に有効な注射療法と言えます。
- レーザー減圧手術 :
切開手術を要しない軽度〜中等度の椎間板ヘルニアには、レーザー熱で線維輪の亀裂部を熱凝縮させる線維輪形成術を行います。 - 脊椎矯正・鍼治療 :
慢性腰痛では椎間関節の歪みや骨盤の傾きによる靱帯バランスを調整することで姿勢を根本的に改善し、腰部の支持力を高めます。また、東洋医学としての鍼治療は神経痛の緩和や血流改善を通じて治癒力を促進します。 - ブロック注射 :
手術を要しない軽度の椎間板ヘルニアでは、各種のブロック注射を繰り返すことで痛みが軽減することがあります。 - リハビリ :
どの時期であっても、適切な運動療法は必要です。
椎間板性腰痛(椎間板変性症)


正常椎間板
正常な椎間板のMRI側面像では、髄核は高信号で白く描出されます。MRI断面像では、白く均質な肉まん様の外観を呈し、線維輪に相当する外層は一定の厚みを保っています。椎間板表面は平滑で、髄核は中央にまとまったあんこ様構造を示し、水分は内部に十分保持されています。椎間板造影では造影剤の漏出は認められず髄核は中央に位置しています。
椎間板性腰痛(椎間板変性症=Black disc)
椎間板変性のMRI側面像では、髄核は低信号で黒く描出されます。MRI断面像では、肉まんの外皮が硬化してひび割れ、薄くなったような形態を示し、椎間板全体は黒褐色調に変化します。髄核はアンが拡散したように広がり、水分は糊状となって周囲へ滲出し、神経周辺に付着して癒着を生じます。椎間板造影では造影剤が神経周囲へ上下方向に漏出する像が認められます。椎間板変性のGradeが進行するにつれて、腰痛の程度も増強します。
正常椎間板と損傷椎間板の相違

椎間板が損傷されると、何が変化してしまうのか?
- 髄核幹細胞の水分脱失変化:
まず髄核の含水量が低下し、幹細胞の再生能が失われる。 - 髄核の炎症:
髄核に炎症が生じ、疼痛関連物質が産生・放出される。 - 異常血管の迷入:
本来無血管である椎間板内に異常血管が迷入し、充血および血流うっ滞を生じる。 - 疼痛神経の迷入:
線維輪周辺から疼痛感受性の高い神経線維が迷入し、疼痛が惹起されやすくなる。 - 終板が決壊:
椎間板上下の終板が脆弱化・破綻し、支持性が低下して椎間板形態が崩れる。
自己脂肪幹細胞移植で椎間板再生を

幹細胞移植で何が変わるか?
- 幹細胞は分化し、髄核細胞や軟骨細胞に変化成長する:
自己脂肪幹細胞の分化能は高く、新たに髄核細胞・軟骨細胞が再生されてくる。 - 成長因子の活性化は椎間板を修復する:
幹細胞はTransforming Growth Factor形質転換増殖因子・Fibroblast Growth Factor線維芽細胞増殖因子の分泌で椎間板組織を修復する。 - 炎症性サイトカインの抑制:
IL-1βやTNF-α等の炎症サイトカインを抑制し、痛みを軽減し、慢性炎症を鎮静させる。 - 細胞外マトリックの改善:
プロテオグリカン・コラーゲンが増加し、椎間板の弾力性・クッション性が向上。アグリカン増加で水分保持が増す。
脂肪幹細胞注入による椎体終板及び椎間板修復MRI像

椎間板変性に伴う終板のModic変性を認めたL4/5及びL5/Sに対し、自己脂肪由来幹細胞を注入した。2年後のMRIでは、椎間板および終板の修復所見が認められた。
幹細胞注入による椎間板組織修復の動物基礎研究結果

左図:
犬の正常椎間板のHE染色像。髄核(NP)および線維輪(AF)はいずれも密な組織構造を示している。
中央図:
針による椎間板吸引により人為的に作成した椎間板変性像。線維輪内層の層状構造の破綻が認められる。
右図:
幹細胞注入による再生治療後2年で得られた犬椎間板のHE染色像。内層線維輪の配列はやや不整であるが、髄核との境界は明瞭で、椎間板の修復が認められる。
幹細胞注入による椎間板組織の再生と修復
幹細胞は組織修復に関与するが、画像上の変化が必ずしも認められるとは限らない。
一方で、疼痛の軽減や生活機能の改善は多くの症例で示されている。
慢性腰痛への幹細胞培養上清液による治療法
- 椎間板性腰痛:
椎間板の線維輪に亀裂が生じると、内部の液体成分が滲み出て MRI で白く映るようになります。この炎症性の液体は脊髄神経を刺激し、神経周囲に線維性癒着を生じることもあります。放置すると肉芽組織が形成され、炎症細胞の浸潤や異常神経の発芽が起こり、慢性腰痛へ進行します。自己脂肪幹細胞、iPS 細胞抽出成分、幹細胞培養上清液などを注入することで、線維輪の亀裂を早期に修復し、脊髄神経周囲を健康な細胞膜で覆うように再生させることが期待されます。 - 椎間関節性腰痛:
椎間関節は上下の椎骨同士を連結する関節で、加齢や反復する外力により炎症や変性を起こし、腰痛の主要な後方要素となります。腰を反らす(伸展)・捻る(回旋)動作で痛みが増え、正中から約2cm外側の椎間関節部に圧痛がみられます。朝のこわばり、動作開始時痛、前屈・後屈・回旋の可動域制限を伴い、局所痛に加えて臀部や大腿部へ放散する関連痛を生じることもあります。幹細胞系再生医療により椎間関節の炎症が改善し、すり減った軟骨の修復・再生が期待できます。症状が強い場合には、ラジオ波により増殖した過敏知覚神経を焼灼する Rhizotomyを行うこともあります。


経皮的レーザー椎間板減圧術PLDD+再生医療

椎間板膨隆部による神経への圧迫を軽減
椎間板の膨隆は神経を圧迫し、腰痛や下肢の痛みの原因となります。レントゲン透視下で、突出部に約1mmの細い針を正確に刺入し、その中にレーザーファイバーを挿入します。ピンポイントでレーザーを照射することで、膨隆した髄核を熱凝縮させ、神経への圧迫を軽減します。
椎間板線維輪の亀裂を熱凝縮して、疼痛物質の流出を防ぐ
線維輪は膠原線維などのたんぱく質で構成されていますが、加齢や負荷により亀裂が生じると、髄核の一部や椎間板内の液性成分が漏れ出します。これらの成分は神経を化学的に刺激し、糊状となって神経周囲の癒着を引き起こすことがあります。レーザーの熱で亀裂部をたんぱく凝固させる(線維輪熱形成術)ことで、疼痛物質の流出を抑え、神経への悪影響を防ぎます。
レーザー照射後に幹細胞や上清液を注入し、組織の修復・再生を促進
レーザー照射後、自己脂肪由来幹細胞や、iPS細胞由来抽出成分、乳歯髄由来幹細胞の培養上清液を追加で注入します。変性・劣化した髄核のたんぱく質を修復し、組織の再生を促します。なお、本治療はオプションとなります。