再生医療とは?COLUMN

目次

iPS細胞と脂肪幹細胞の共通点と相違点

iPS細胞(万能細胞)
iPS細胞(万能細胞)
脂肪幹細胞の集団
脂肪幹細胞の集団
1個の脂肪幹細胞
1個の脂肪幹細胞

iPS細胞と脂肪幹細胞の共通点

  • 人体より採取
    体外から採取した自己由来の幹細胞を用いる再生医療であり、免疫拒絶反応のリスクが低く、抗炎症作用を有します。
  • 自己複製能
    増殖能を有し、自身と同一の細胞を繰り返し増やすことができる。
  • 分化能
    他の種類の細胞へ分化する能力をもち、組織に必要な細胞を生成して、損傷した組織の修復を促すことができます。

iPS細胞/iPS細胞抽出成分と、脂肪幹細胞/上清液の相違点

iPS細胞と脂肪幹細胞の相違点

iPS細胞作成とは?=細胞の若返り

iPS細胞作成とは?=細胞の若返り

血液の単核球に4つの山中因子を導入すると、あらゆる年齢の細胞でもDNAが受精卵のような状態に初期化(リプログラミング)されます。この“細胞の時計を巻き戻す”技術により、京大グループはノーベル賞を受賞しました。できれば若く健康な時期の細胞ほどDNA損傷が少なく、iPS細胞を製造しやすくなります。

人工(誘導)多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cell)とは?

iPS細胞は多様な組織へ分化できる多くの機能を持ち、その分化した体細胞を移植することで、損傷組織を補填・修復することが可能です。筋萎縮、神経麻痺、パーキンソン病、脊髄損傷、貧血、心不全、骨壊死、関節炎、軟骨損傷、糖尿病、動脈硬化症、腎不全などに対して、より早く安全に修復・治癒を促す可能性があります。

人工(誘導)多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem Cell)とは?

iPS細胞増殖再生メカニズム

iPS細胞増殖再生メカニズム

加齢によりDNAの両端にあるテロメア(染色体を保護する構造)は徐々に短縮し、細胞分裂能が低下して細胞死や疾患の原因となります。また、若い細胞が分泌する特有の成分も加齢とともに量・質ともに減少します。iPS細胞作製技術は、採血した単核球に4つの山中因子(遺伝子)を導入することでDNAのテロメアを伸長させ、細胞を “0歳相当” に若返らせます。これは細胞の時計を逆戻しするようにリプログラミングによる初期化を行うものです。

再生したiPS細胞はほぼ無限に増殖可能で、冷凍保存により終生いつでも利用できます。現時点でiPS細胞そのものの臨床利用は特定の大学病院に限られますが、数年後には許可を受けた一般病院での治療利用も想定されています。iPS細胞から抽出された成分であるiPS細胞抽出成分(iPSF)には、若い細胞特有の生理活性物質が豊富に含まれ、必要時に利用できます。

iPS細胞抽出成分iPSFの多用途な臨床応用

1.脊椎・脊髄腔内注入 2.関節内投与 3.静脈点滴 4.美肌美顔への応用 5.点鼻(脳内移行)の5つの方法が、随時反復して利用可能です。

自己脂肪幹細胞が全身に与える影響

自己脂肪幹細胞が全身に与える影響

年齢に関わらず元気な腹部脂肪細胞を増殖し、局所注入や全身点滴によって弱った細胞を支え、損傷部位の修復と回復を促します!!

  1. 抗炎症・鎮痛作用
    変形性膝関節症の痛みを軽減し、喘息や肝炎などの慢性炎症性疾患の改善を促すとともに、心血管疾患のリスク低減が期待されます。
  2. 血管新生延長促進作用
    四肢の血流障害を改善し、心筋梗塞後の回復を促進するとともに、糖尿病性壊疽の治療に役立ちます。
  3. 神経保護・修復作用
    脳卒中後の神経回復を促し、脊髄損傷の回復を助けるほか、パーキンソン病やアルツハイマー病の進行抑制、慢性疼痛の改善が期待されます。
  4. 代謝改善作用
    糖尿病や肥満の改善、脂質代謝の向上が期待されます。
  5. 再生・修復効果
    皮膚の再生を促し、軟骨や骨の修復、筋肉・神経の回復が期待されます。
  6. 免疫調整作用
    関節リウマチ、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、アトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患の改善が期待されます。

自己脂肪幹細胞は多機能を有する

自己脂肪幹細胞は多機能を有する

体内で再生能力をもつ幹細胞は、間葉系組織の中でも脂肪皮膚骨髄の順に多く含まれています。特に脂肪組織は幹細胞の増殖能が高く、高齢になっても比較的保たれやすい特徴があります。実際、年齢を重ねても少し食べ過ぎるだけで腹部脂肪が増えるのは、この増殖能の高さを示しています。

増殖した自己由来の幹細胞を体内に戻すことで、多くの生理活性物質が分泌され、タンパク質成長因子、さらにエクソソームサイトカインなどが損傷した細胞や組織の修復・再生を促します。

一方、皮膚骨髄に存在する幹細胞は、加齢とともに脂肪由来幹細胞より早く増殖能力が低下するため、若い時期ほど治療効果が得られやすいと考えられます。

自己脂肪幹細胞の多機能とは

  1. 抗炎症・鎮静作用
    損傷した組織の炎症を抑制し、痛みを軽減します。
  2. 細胞老化防止・血管新生延長・神経細胞分化促進作用
    細胞の損傷を修復し、細胞死を抑えて老化を防ぎ、虚血組織では新しい血管の形成を促します。さらに神経細胞の分化を助け、機能の回復を促進します
  3. 組織再生能力
    損傷した組織の修復を早め、新たな組織の再生を促進します。

自己脂肪幹細胞の分化能力

自己脂肪幹細胞の分化能力

自分の脂肪から増殖した幹細胞は、各種必要な細胞に分かれ、弱体化した組織に到達して、損傷部分を修復補強し、元気な組織に生まれ変わる!

脂肪幹細胞は骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、神経、内臓 など様々な細胞に変わることができます。幹細胞の成長因子蛋白は、血管を新生させ、細胞を分化増殖する遺伝子情報をコピーしながら、必要な細胞を再生し、未熟組織を最終的には元気な組織へと修復変化していきます。

  1. シグナル伝達経路:
    細胞表面のタンパク質が、脂肪幹細胞から成長因子を受け取ると、血管新生用の信号が発生し、酵素がこの情報をドミノリレー式に、増幅伝達しながら、細胞を分化、増殖成長させていきます。
  2. 転写因子の活性化:
    注入された脂肪幹細胞は、劣化細胞に到達すると、修復用蛋白質を作る指示を出し、細胞核内のDNAと結合し、転写メカニズム(mRNAの合成)を活性化し、細胞の傷を治していきます。
  3. 成長因子の作用:
    脂肪幹細胞中の成長因子(タンパク質)は、損傷細胞の表面に結合して、生存刺激を与え、未熟な細胞を元気な細胞に変化させながら、さらに欠損した部分へと再生した細胞を移動させます。

自己脂肪幹細胞の多分化能と自己複製能

自己脂肪幹細胞の多分化能と自己複製能

脂肪組織の中に含まれる幹細胞は、多分化能(脂肪、骨や軟骨、筋肉、血管、神経などの細胞に分化する能力)と自己複製能(自分の分身を作り出す能力)という二つの能力を併せ持つ細胞です。幹細胞治療は、この「細胞を作り出す力」を損傷部位に活用することで、組織の修復が期待できる再生医療です。

多分化した細胞の証明

自己複製幹細胞
自己複製幹細胞
軟骨細胞
軟骨細胞
骨芽細胞
骨芽細胞
神経様細胞
神経様細胞

自己複製中の幹細胞は日毎に増殖する像が顕微鏡で認められます。一方、適切な分化誘導培地を利用することで、自己脂肪幹細胞はそれぞれの細胞に分化していきます。

それぞれの染色法により分化された細胞が染色されているのがわかります。幹細胞は損傷した部位に到達すると、必要な細胞に分化増殖して、欠損細胞を修復していきます。椎間板障害の場合では、軟骨細胞に変化したり、神経様細胞を発芽させ、神経の機能を回復させます。

人生の幹細胞の推移

人生の幹細胞の推移
  1. 人間の始まり:
    私たちの体はたった一つの細胞(受精卵)から始まりました。
  2. 増殖・分化して胎児に:
    何度も細胞分裂を繰り返して、約37兆〜60兆個の細胞数に増殖し、さらに200種以上の組織に分化し、目・鼻・内臓・骨・脳・腸等ができあがってきます。
  3. 幹細胞の役割:
    皮膚・血液・腸等のように寿命が短い細胞は絶えず入れ替わるため、それを補うのが幹細胞であり、失われた細胞を再び補充して成長を継続していきます。幹細胞は様々な細胞に変身する分化能力と、分裂して自分をコピーして増殖できる自己複製能力を有しています。
  4. 幹細胞の推移:
    生まれた時の幹細胞は60億個ありますが、年齢とともに減少し、60代では1/60にまで減少します。
  5. 幹細胞の増殖能力:
    幹細胞は、脂肪>皮膚>骨髄中に存在しますが、脂肪由来幹細胞は年齢による減少はあるものの、細胞自体の能力は加齢による影響を受けにくいので、幹細胞移植には脂肪が真っ先に選択されます。

幹細胞は損傷細胞をどのようにして修復するか?

幹細胞は損傷細胞をどのようにして修復するか?

生理活性物質:幹細胞は成長因子・サイトカイン・エクソソームなど多くの生理活性物質を分泌し、これらのRNAやタンパク質が他の細胞に、以下のよう様々な形で好影響を及ぼします

  1. オートクライン効果
    幹細胞は自ら分泌したシグナル分子を自身で受容し、細胞の増殖生存・分化能力を維持・調整します。
  2. ホーミング効果
    損傷細胞からSOSシグナルが発せられると、レスキュー幹細胞が血流に乗って損傷部に集まり、壊れた組織の修復を行います。
  3. パラクライン効果
    幹細胞は損傷細胞の近くに集まると分泌因子を放出し、局所で組織修復や再生を促します。幹細胞の局所注入は、その場で直接的効果を発揮します。
  4. エンドクライン効果
    幹細胞は生理活性物質をホルモンのように血流を介して損傷細胞へ届け、遠隔部位で組織修復や再生を促します。

生命の営み

生命の営み

生命の営み細胞の死滅細胞の再生バランスで成り立っています。

  1. DNAが短くなり寿命を終えた細胞はターンオーバーして若い再生した細胞に世代交代します。正常な新陳代謝でもある(アポトーシス)。
  2. 病気・炎症・損傷・腐食細胞膜破壊した壊死細胞は消滅していきます。果物が腐りかける状態と同様で、病的な細胞死(ネクローシス)を意味します。
  3. 細胞内の老廃物や損傷蛋白質は分解酵素で分解解毒され、新細胞の合成にリサイクル利用されて、恒常性を維持しようとする(オートファージ)。
  1. 幹細胞の再生:
    組織中の幹細胞活性化されて自己複製して数を増し、分化して必要な組織に再生されていきます。
  2. DNAの複製:
    細胞分裂を起こし新たな細胞を増殖させていきます。
  3. 蛋白質の産生:
    I型コラーゲンが生み出され、組織は蛋白質によりリモデリングされ、しっかりとした形を構築します。